森林に新たな可能性を感じて。
- 単身移住
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松澤 瞬(まつざわ しゅん)さんプロフィール
埼玉県出身。
北海道内の大学を卒業後、筑波大学大学院在学中に南会津町との関わりをもったことがきっかけで移住。
南会津の森林資源に可能性を感じ、町内の木材関連会社をネットワーク化して木製玩具やアロマ製品に展開するなど新たな活用につなげている。

自分がここで何ができるか、毎日考えた
埼玉県出身の松澤瞬さんは南会津郡南会津町に2012年に移住。北海道の大学在学中に恩師から「南会津町で活性化事業を立ち上げるために若い世代を探している」という話を聞いて、興味を持ったのがはじまりでした。「なんとなく面白そうだな」と感じた松澤さんは教授の勧めもあり、大学院に通いながら南会津を何度も行き来していました。
「南会津の人や自然に触れるうちに、南会津に住みたいなと思ったんです」。大学院在学中、松澤さんは南会津町の移住へと踏み切ります。
「1年間南会津に通っていたので、気持ちのギャップがなく生活をスタートさせることができました。それよりも地域の多面的な資源をどう活用し、活性化させるか、自分がここで何をできるか毎日考えていました」と松澤さんは当時を振り返ります。

そんな松澤さんを地域住民の方々も応援。南会津の森林資源の活用を目指し、地域のNPO法人や、木製のおもちゃを世界に向けて制作販売する企業と連携し、製品のデザインを手掛けました。積雪量が多い南会津町の暮らしに不便さよりも楽しみを感じながら生活していると言います。「スキーのインストラクターをしているので、雪はウエルカム。夏は山や沢を登ったり、大自然の中でキャンプが出来る。南会津は一つの季節の中で楽しめることが沢山あります。
冬ならスキーだけではなく、スノーモービルやスノーシューなど何通りもの楽しみ方ができるんですよ」。

森林資源の新たな可能性
松澤さんの今後の目標は、南会津の情報をどんどん発信すること。「南会津の魅力を大人にも子どもにも幅広く知ってもらうために、体験型宿泊のグリーンツーリズムを広めていきたいです。外から人が来ることで何かしらの仕事が生まれる。仕事があれば若い人たちと一緒に活動できる機会が増えます。自分と同じ目標を持って南会津の地域活性化活動をしていきたい。最終的には、南会津に移住する人が増えて欲しいですね」。
さらに松澤さんに新たなチャレンジの機会が訪れます。それは、東京のアロマオイル販売会社との出会いでした。「日本の天然素材から抽出した和精油を手がけたいというお話だったので、これは南会津の新しい産業にしたいと思いました。南会津で至る所に生えているクロモジや杉は高級な和精油の原料になるんです」。松澤さんの提案に、一気に話が進みました。「地元の方たちが自分の山から薬草や薬木を採集し、それを買い取る。さらに精油を抽出する作業を仕事として委託する仕組みが必要でした」。 松澤さんの奮闘が実を結び、南会津の名前がついた精油が国内外に向けて販売されています。

編集後記
南会津郡南会津町は福島県の西部に位置し、舘岩地区の前沢集落など歴史的な文化財が点在しています。江戸時代は幕府の直轄領であり、森林資源を生かした伝統産業が発展。独自の文化も栄え、夏には三大祇園祭の一つ会津田島祇園祭が行われています。冬は良質の雪質を求める多くのスキーヤーが集まるスノーリゾート地です。
(掲載:2018年4月)