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小松理虔さんによるスペシャルトーク 小松理虔が語る、ふくしま「ゆる移住」のススメ

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小松 理虔(こまつ りけん)さんプロフィール

1979年生まれ。法政大学卒業後、福島テレビ報道部記者を経て、現在はローカルアクティビスト(地域活動家)。「ヘキレキ舎」の屋号で、媒体の作成やイベント企画、オルタナティブスペース「UDOK.」の運営など。現在、雑誌『TURNS』にて移住者検討者に向けてのエッセー『晴天の霹靂』連載中。『新復興論』(ゲンロン)で第18回大佛次郎論壇賞。共著に『常磐線中心主義』など。

小松理虔

いわき市で活躍する地域活動家の小松理虔(りけん)さん。震災以降、福島県外に住む人に向けた情報発信やツアーガイドなど、福島の内/外の架け橋的存在であり続けています。今、まさに移住を検討中の来場者に向けて、自身の体験や先輩移住者のリアルを織り交ぜながら、目から鱗のぶっちゃけ話を語ってくれました。
キーワードは、「ゆる移住」。仕事や住まいなど、環境変化を余儀なくされる移住ですが、この「一大決心が必要」なイメージこそが移住のハードルを高くしてしまっていると小松さんは話します。
(この記事は、2019年11月に東京で開催された「福島くらし&しごとフェア」での講演録を編集したものです。)

今、まさに移住ブームですよね。だからこそ「移住とはなんぞや?」ということをまずは考えていきたいと思います。
移住とは、要するに「転職と引越しのセット」。「仕事があって、まあまあ暮らせる」状態になれば、移住成功だと僕は考えます。さらに、今住んでいる町よりも、自然が美しくて、より食べ物がうまくて、コミュニティがあって、子育てしやすい町だったら最高。
移住メディアなんかを見ているとキラキラした事例が本当に多くて、「わたしにはこんな大変なことはできない」って怖気づいちゃいませんか?でも、移住したら必ず起業しなきゃいけないわけでも、就農しないといけないわけでもない。メディアには出てこないけれど、移住を成功させた人はごまんといる。
本来の「仕事があって、まあまあ暮らせる」というゴールであれば、ぶっちゃけ、どこでも「なんとかなる」ものです。「移住促進事業」をやっている地域なら、なおさら。今のあなたのキャリアがいかせる機会は、どの町にもあると思ってください。そういう意味で、まずは移住のハードルを下げる「ゆる移住」という発想を育てていくことが重要だと思います。

もう一つぶっちゃけると、移住は「決していいことばかりではない」ということ。この世界に完璧な町なんて存在しなくて、どこであっても良し悪しは混在しているものです。
景色がきれいとか、魚がうまいとか、「良い」ことは最大化して楽しめばいい。じゃあ「悪い」ことはどうか。悪いこと、つまり「課題」があったら、それをネタにして楽しめばいいんです。むしろ地方では、その「課題」を解決しようとすることで、食いぶちが見つかったり、仲間が見つかったりします。福島は課題先進地区といわれているだけあって、課題だらけ。ということは「ネタだらけ」なんです。課題こそが、魅力。今までのキャリアが課題解決に必ず役に立つし、福島に住めば栄光しかないです(笑)
僕の経験上、地域や個人が抱えている課題を社会に出すと盛り上がります。僕が携わっている「igoku(イゴク)」もその一つで、地域の「超高齢化」という課題をポジティブに取り上げたことで、グッドデザイン賞金賞までいただきました。他にも、Facebookで「子育てに悩むパパの飲み会をやるよ〜」って呼びかけたら、自治体と子育てについて協業することになったり……。自分の抱えている「お困り感」を通じてコミュニティが生まれたり、仕事や副業につながっている人が本当に多いです。
ただ、間違えないでほしいのは、課題解決に名乗りをあげなくたって、全然いい。そこは自分で選べばいいんです。

いわきの動きを伝えるフリーペーパー「igoku」。「いごく」はいわきの訛りで「動く」という意味。
いわきの動きを伝えるフリーペーパー「igoku」。「いごく」はいわきの訛りで「動く」という意味。

「移住における福島の優位性とは何か?」と聞かれたら、僕なら「1.移住者コミュニティがしっかりあること」「2.顔が見えて、すぐにつながれること」「3.仕事がたっぷりあること」と答えます。
ただし、注意が必要なのは、求人広告とかハローワークに載っていない仕事こそがたんまりあるということ。履歴書を握りしめて「御社で働かせてください!」という、従来の就活スタイルはあまりオススメしません。知り合いにSNSでつないでもらったりするほうがトントン拍子にことが運ぶ。お目当ての企業のイベントに手伝いに行って、それとなく「この会社で働きたいなあ」とつぶやいたら、その場で即採用!みたいなことがよくあるんです。
だから、あれこれ考えて不安になるよりも、移住しちゃったほうが早い。移住した人の後ろに「道」ができる。あなたには、あなただけの移住の物語が必ず生まれます。
どうしても移住を決断できないのであれば、まずは週末だけとか、1か月だけの移住から始めればいい。この時代、ブームとはいえ「移住したい」と思っている時点でマイノリティです。だからこそ、移住者と地域の人が連帯して、楽しんじゃうことが大切。
「今ここから、始める」という気持ちで飛び込んでください。絶対になんとかなりますから。

僕自身、いわきにUターンした人間なので、移住前に抱く理想と懸念のせめぎあいはよくわかります。僕が地元の小名浜に戻ることを決めたときだって「地元で働く場所はないだろうし、稼ぎも多くないだろうな」「東京の方がチャンスが多いよな」って思いました。僕はローカルメディアを作ったり、コミュニティスペースの運営をしたかったんですけど、案の定、地元には自分のやりたい仕事はなかった。求人票を見ては気が滅入ってしまって……海辺のかもめだけが友達でした。結果的に就職するまで3か月かかりました。とはいえ、仕事が決まるまでのモラトリアムは必要だったと思います。
この経験から僕が学んだことは、移住初期は心の問題が大きいということ。実家をはじめ、相談できたり、愚痴ったりできる場所があると心強いです。なにより、移住してすぐに「理想の仕事!」「自分らしい移住生活!」と思い過ぎずに、1〜2年はならし運転だと捉えることです。ステップアップはいつでも可能ですから。
とにかく焦らず、たくさん出かけて仲間を増やす。その人たちと共に過ごし、困っていることを分かち合う。そうやって人と出会っていくなかで、理想の仕事が見つかることのほうが多いということを覚えておいてほしいです。「ないなら自分で作っちゃえ!」とチャレンジする場合も、地方のほうがなにかとハードルが低いと思います。

最後になりますが、僕は「楽しくない移住なんてない」と思っています。すべての移住は楽しい。でも、それには、仲間が必要です。そして福島県は、そんな仲間が見つかる場所だと思います。どんどん外から人が来てほしいと、みんなが願っている。だから心配は無用です。
東日本大震災と原発事故は福島に大きな課題を生み出したけれど、それをポジティブに解決しようとする人たちが集まって、県内各地に散らばっています。先輩移住者たちが、地域の魅力を膨らませようと、課題を解決しようと日々奔走しています。そして、彼らがこれからやってくる移住者の「居場所」をすでに作ってくれています。だから大丈夫。もちろん、居場所を自分で作りたい人も大歓迎。みんなでバックアップします。
改めて、僕はどこよりも福島県は「ゆる移住」できる県だと思っています。「今週末、福島いっちゃう?」みたいなノリで来てください。仕事があって、楽しく暮らせる土壌がここにはある。「おいで!」とみんなが手招きしていますよ。ぜひ僕のことも頼ってください。いわきでお待ちしています。

編集後記

お話が終わると、小松さんの周りに多くの参加者が駆け寄りました。igokuのフリーペーパーを眺める人、「今度いわきに遊びに行ってもいいですか?」と尋ねる人。思いがけず心を揺さぶられ、背中を押されたような表情の面々。いつか福島に移住して、思い悩むことがあっても、「大丈夫だよ!」と小松さんが励ましてくれる……そんなイメージが目に浮かぶトークイベントでした。

(掲載:2020年1月)

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