地域の人に愛されるぶどう園を目指して新規就農
佐瀬 和宏(させ かずひろ)さんプロフィール
1992年生まれ。千葉県東金市出身。大学を卒業してJAに勤務。退職後に車中泊をしながら日本一周の旅に出た後、2020年に矢祭町の地域おこし協力隊に着任。協力隊として1年ほど農業研修を受けて2021年卒隊。矢祭町の地域おこし協力隊時代に同僚だった、埼玉県出身の奥様と結婚。現在は一児の父。2022年3月から「はるかぜぶどう園」を営む。
千葉県出身の佐瀬さん。地域おこし協力隊として矢祭町に移住して、新規就農に至ったお話を伺いました。
日本一周の旅を経て地域おこし協力隊として矢祭町に移住
Q.福島県へ移住された経緯を教えてください。
旅が好きで、仕事を辞めてから1年ぐらいかけて車で日本一周の旅に出ました。その時ゲストハウスに滞在して各地の農家でアルバイトをした経験から、自分も地方移住をしてゲストハウスをやってみたいと考えるようになりました。全国の地域おこし協力隊の情報を探していたら、矢祭町がゲストハウスプロジェクトの任務で募集していたのを見つけて2020年5月に着任しました。
着任する直前は、矢祭町に隣接する茨城県大子町で暮らしていました。令和元年の台風19号による水害で浸水被害を受けた地域で、住み込みで復旧ボランティア活動をしていた時期です。大子町は矢祭町との距離も近くて、視察もしやすかったです。役場の方と矢祭町内を見学して、ここでやっていけそうだと思えたのが移住の決め手になりました。
Q.移住してからの生活はどうでしたか?
私が着任したばかりのころは、コロナ禍の影響で県外から移動してきたら2週間は自宅待機という制限がありました。その後も旅行業は厳しい状況が続き、ゲストハウスのプロジェクトを続けるのが難しくなりました。ゲストハウスをやりながら、ゆくゆくは農家になるのが理想だったけれど、それなら農業を先にスタートすればいい!と発想の転換をしました。矢祭町で唯一のぶどう農家の方と出会って、その先輩のぶどう園で1年ほど農業研修を受けました。
地域おこし協力隊を卒隊してぶどう農家として独立
Q. ぶどう農家として新規就農する中で印象に残ったことは
協力隊の任期中に農業研修を受けながら、農地がない段階でぶどうの苗を買って独立の準備をしていました。地域の方に「うちの畑を使っていいよ」と声をかけていただき、遊休農地を一人で開墾したのが今の圃場です。45アールの農地に88本18品種のブドウを栽培しています。認定新規就農者の認定を受けて、青年等就農資金の融資を受けて設備を整えました。ここ1〜2年で農業資材が倍近い値段になっていて、高騰する前に始められたのはいいタイミングでした。
Q.はるかぜぶどう園の展望を教えてください
「はるかぜぶどう園」という名前は、地元の小学生と開催したワークショップで決まりました。
はるかぜは南から吹くあたたかな風という意味。福島県の南にある千葉県から福島県の最南端・矢祭町にやってきた自分の農園に、人が集まるあたたかな場にしたいという願いを込めています。
試食してもらって味の反応を知りたいので、市場には出さずに直売所でのみ販売しています。農作業体験やイベントなどで、地域の人に喜ばれるぶどう園にしていきたいです。矢祭町のふるさと納税返礼品として登録の準備もしているので、町への恩返しになればと思っています。
佐瀬さんに、「わたしのふくしまぐらし。ベスト3」と題し、ふくしまぐらし。のお気に入りベスト3を伺いました。
佐瀬さんが「いいな」と感じている≪ふくしまぐらし。≫ベスト 3
1.人との距離感がちょうど良い
商工会のつながりから、「いちごや」でケーキやフルーツサンド、大福などにぶどうを使ってくれたり、「やまつりファーム」のたまご自販機の横でぶどう販売をさせてくれたりと、矢祭町の人たちが良い距離感でぶどう園を応援してくれています。ぽろっと「矢祭町に住んでくれてありがとう」と言ってくれたのが嬉しい瞬間でした。
2. 四季のうつろいが感じられる景色がある
農作業の合間に、桜や紅葉の季節は家族で矢祭山公園に出かけて楽しんでいます。ぶどう園の農作業中も、まわりの山や田んぼの風景から四季の変化を身近に感じられる暮らしが好きです。
3. 自分らしくいられるところ
就農してからはぶどう園の作業はひとりでこなしていることもあり、だれかに気を使うことなく、ありのままでのんびりと暮らせるのが良いです。
Q福島県へ移住してみたいなという方へのメッセージ
個人的には、第一印象を大事にしたほうがいいと感じています。移住を考えている場所を視察した時、「ここでなら暮らせそうだ」という直感を信じてみてください。「〇〇があれば」といった条件を付けて移住先を選んでいくほうが、住んだ後にギャップが出てきてしまう気がします。
佐瀬さんが矢祭町でおすすめするスポットは?
最後に、佐瀬さんにおすすめスポットを聞いてみると、現役の矢祭町地域おこし協力隊である奥様が運営するコミュニティスペースを紹介してくれました。
おすすめスポット ヒガシダテ待会室
「妻が運営に関わっている『ヒガシダテ待会室』は、東館駅にあった宿直室を改装したコミュニティスペースです。フリードリンクコーナーや本棚、カードゲーム、ちょっとしたおもちゃがあり、だれでも気軽に利用できる場所です。小さいお子さんを連れたママさんが水郡線の電車を見に来たり、小中学生が友だちとゲームをして遊んで行ったり、高校生が待ち合わせの場所にしたりと自由に過ごしています。ぶどう園からも近く、農作業の合間に妻と一緒にここで昼食をとることもあります。」
ヒガシダテ待会室
JR水郡線東館駅構内
福島県東白川郡矢祭町大字東舘字石田32
営業時間 平日10:00-17:00
ヒガシダテ待会室公式Instagram
https://www.instagram.com/yamatsuri_life/
はるかぜぶどう園直売所
やまつりファーム自販機横
福島県東白川郡矢祭町大字戸塚字戸塚6
はるかぜぶどう農園 公式Instagram
https://www.instagram.com/budo_yamaturi/
旬のシーズン限定でオープンする「はるかぜぶどう園」の直売所で、フレッシュで甘みたっぷりのぶどうを購入してみてくださいね。
今回は、矢祭町に移住された佐瀬さんの、移住のきっかけとふくしまぐらしの良さについてお伺いしました。
今後も、県内各地の様々な移住者の方にお話を伺っていきますのでお楽しみに。
福島県への移住、Uターン移住を検討されている方々へ、少しでも参考になれば幸いです。
(この記事は、2024年8月に取材したものです)
この記事に関するお問い合わせ先
福島県ふくしまぐらし推進課
住所:〒960-8670 福島県福島市杉妻町2-16
電話番号:024-521-8023
ファックス番号:024-521-7912
お問い合わせはこちらから↓
https://www.pref.fukushima.lg.jp/form/detail.php?sec_sec1=38&check
更新日:2024年09月05日