海外留学から通訳を経て、故郷ふくしまでボルケーノ女子へ

更新日:2024年08月15日

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金 裕香(きん ゆひゃん)さんプロフィール

1989年福島県生まれ。在日韓国人の両親のもとに生まれ、小学4年生まで猪苗代町で過ごす。小学5年生から大学生までを県内や他県の朝鮮学校で過ごし、2011年カナダへ留学。帰国後、東京で通訳業に携わったのち福島県へUターンし、2020年から北塩原村の地域おこし協力隊に就任。 2022年より火山(ボルケーノ)好き女子、通称「ボル女」を名乗り、火山の魅力を発信している。

福島県出身の金さん。留学を経験し、東京で就職してからUターン移住へと至ったお話を伺いました。

故郷ふくしまへの恩返し。地域貢献のためUターン移住

Q.福島県へUターン移住された経緯を教えてください。

大学卒業後、2011年にカナダ留学を決めました。在日韓国人としてのアイデンティティに悩んでいた私にとって、カナダは多様な文化が認められる国で居心地がよく、留学期間が終了してからも家具販売の仕事に就いて、合わせて8年間暮らしました。

しかし、ビザの関係で後ろ髪を引かれる思いで帰国しました。帰国後は東京で通訳の仕事を始めましたが、通勤で満員電車に乗ることがストレスで、気づいたら不眠症、体調不良に陥ってしまったのです。一時休職して、 幼少期を過ごした猪苗代町に戻ってきました。

猪苗代町では、知り合いのウェイクサーフィンのお店でアルバイトをすることに。せっかくなら自転車通勤をしようと往復20キロを通い、仕事でウェイクサーフィンをしていたらたった3日間で不眠症が治ってしまったのです。

震災の直後で大変な時、カナダ留学で自分だけ福島を離れてしまったことが心残りで、いずれは地元に戻って地域貢献したいと思っていたので、本格的にUターンを決意しました。 それまで地域おこし協力隊という制度を知らなかった私に、アルバイト先のオーナーさんが北塩原村で地域おこし協力隊員を募集していると教えてくれたこともUターンを後押ししました。

Q. 暮らしに変化はありましたか?

東京にいたころは、職場と自宅の往復だけで、気が休まることがありませんでした。毎日忙しく満員電車で通勤して、通訳の仕事でクタクタに疲れて帰ってくる毎日でした。北塩原村に移住してか ら、空気、水、食べ物、お酒など、すべてのおいしさに感激する日々です。それに何と言っても大自然!猪苗代盆地に広がる田んぼや360度広がる大自然を眺めているとなんとも癒されますね。昔から知っていたはずなのに、福島の良さに改めて気付きました。もう満員電車には乗れませんね。

生活を変えた火山との出会い

小学生に授業をする金さん

Q. 現在のお仕事、活動内容について教えてください。

磐梯山(ばんだいさん)ジオパーク協議会事務局のスタッフとして地域の小中学生へ向けて、磐梯山周辺の大地の成り立ちや噴火の歴史を教える授業をしています。まずは学校へ出向き、ジオパークについて事前授業を行い、 後日フィールド学習でガイドを務めます。そのほかに、外来種の把握・駆除など磐梯山の保全活動にも積極的に参加しています。磐梯山の北側に位置する裏磐梯(うらばんだい)には、ウチダザリガニなどの特定外来種が多くいます。外来種が元々あった自然に与える悪影響や、自然を守る大切さを子どもたちに伝えていくのも仕事の一つです。

Q.「ボル女」の活動について教えてください。

北塩原村の地域おこし協力隊に着任してすぐに、「磐梯山噴火記念館」の佐藤館長から直々に火山のことを教えていただきました。最初は火山に全く興味はなかったのですが、火山の知識を身に着けてから火山を見ると、湖の色や地形・地層のことなどが理解できるようになり、火山の魅力にどっぷりハマってしまいました。この魅力を色々な人に知ってもらいたい!と、ボルケーノ好き女子、通称「ボル女」と名乗って、自身のブログやラジオのワンコーナーで火山の魅力を発信して います。

火山の師匠である磐梯山噴火記念館の佐藤館長と

Q.地域おこし協力隊卒業後の展望を教えてください。

2025年3月で地域おこし協力隊は卒業となりますが、その後もガイドとして活動し、火山の知識がない人にも、素人目線でその魅力を分かりやすく伝えていきたいです。カナダ留学で身に着けた語学力を活かし、インバウンドの旅行者にもご案内できるように、通訳案内士の資格も取りたいと考えています。

ボル女としては他県に住む「火山好き女子」たちと、今後オンラインイベントや火山好きサミットといったイベントも構想しています。

金さんのふくしまぐらしベスト3

1. 火山!

県内の火山は桜島のような活発なものはありませんが、古い火山特有の壮大なスケールが魅力です。温泉や湧き水もこの火山のおかげ。こちらも元気が湧いてくるような力強さを感じます。

 2. 「ご地層」

火山を散策しているとよく見られるのが地層です。火山活動の影響で地層が露わになっていたり、地質の特徴が確認できたりする場所が多くあります。どれも興味深く、見つけると嬉しくなるので、 敬意を込めて「ご地層」と呼んでいます。この話をし始めると止まらなくなってしまいます。

3.全てが美味しい!

食べ物だけでなく、空気も水もとにかく全てのものが美味しいです。東京生活や海外留学を経験したからこそ、この美味しさをより実感できるようになりました。

Q福島県へ移住を考える方へのメッセージ

情報収集の段階で、インターネット検索だけではなく、実際にそこに住んでいる人から話を聞いてみてください。私が北塩原村に来て感じたのは、やはり人の良さです。そこに住む人に話を聞くと、 その土地の良いところも悪いところも知ることができると思います。可能であれば、本格移住の前にお試しで短期間暮らしてみる事をおすすめします。

おすすめスポット~銅沼(あかぬま)~

よく朝に登山する場所。磐梯山の中腹にある火口湖です。とても酸性度が強く透き通った浅い沼で、底が赤茶けて見えるので銅沼と呼ばれています。ここに来ると、迫ってくるような火山のパワーに圧倒されて、悩み事なんて吹き飛んでしまいます。


磐梯山ジオパーク協議会
https://www.bandaisan-geo.com/


金さんの火山ブログ「ボル女の火山のおはなし」
https://www.vol-jo.fun/

金さんが地域おこし協力隊として活躍している福島県北塩原村は、磐梯山の火山としての魅力が随所に見られる場所です。自然の恩恵によって生まれた風光明媚なところですので、ぜひ一度訪れてみてくださいね。

今回は、北塩原村へUターン移住された金さんに、Uターン移住のきっかけとふくしまぐらしの良さについてお伺いしました。

今後も、県内各地の様々な移住者の方にお話を伺っていきますのでお楽しみに。 福島県への移住、Uターン移住を検討されている方々へ、少しでも参考になれば幸いです。
(この記事は、2024年7月に取材したものです)

この記事に関するお問い合わせ先

福島県ふくしまぐらし推進課

住所:〒960-8670 福島県福島市杉妻町2-16
電話番号:024-521-8023
ファックス番号:024-521-7912

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